CAST
CSAT、または顧客満足度(Customer Satisfaction)は、企業が提供する商品やサービスに対する顧客の満足度を測定するための指標の一つです。この指標は、顧客が企業の商品やサービスにどれだけ満足しているかを数値的に表現することを目指しています。
CSATスコアは通常、アンケート形式で収集されます。顧客は特定の商品やサービスに対して「非常に不満」から「非常に満足」までの範囲で評価を行います。これらの評価は通常、数値(たとえば1から5)に変換され、全体のCSATスコアはすべての顧客の評価の平均または合計として計算されます。
CSATは企業が商品やサービスを改善し、顧客ロイヤルティを向上させるための重要なフィードバックを提供します。しかし、CSATスコアは瞬間的な満足度を測定するものであり、長期的な顧客ロイヤルティや満足度(これらはNPS(Net Promoter Score)などの他の指標で測定されることが多い)を反映するものではないという点に注意が必要です。
NSP
NPS(Net Promoter Score)は、顧客のロイヤルティを測定するための一般的な指標で、顧客がその企業を他人に推奨する可能性を評価します。これは、単純な質問、「あなたは私たちの会社を他人に推奨しますか?」を通じて評価されます。顧客は通常、0(全く推奨しない)から10(非常に推奨する)のスケールでこの質問に回答します。
NPSスコアは次のように計算されます:
レスポンダント(回答者)を3つのカテゴリーに分類します:
プロモーター(Promoters):スコアが9または10の人々。これらの人々は非常に満足しており、他人に企業を推奨する可能性が高いです。
パッシブ(Passives):スコアが7または8の人々。これらの人々は満足していますが、他人に企業を推奨する可能性は低いです。
ディトラクター(Detractors):スコアが0から6の人々。これらの人々は不満足であり、他人に企業を推奨しない可能性が高いです。
プロモーターの割合からディトラクターの割合を引きます(パッシブの割合は無視します)。この結果がNPSスコアになります。
NPSスコアは、-100から+100の範囲を持つことができます。+100はすべての顧客がプロモーターであり、-100はすべての顧客がディトラクターであることを示します。
NPSはその単純さと汎用性から多くのビジネスで広く使われています。また、CSATスコアとは異なり、NPSは顧客の長期的なロイヤルティと満足度を反映するための指標とされています。ただし、NPSだけでは全ての顧客体験をカバーすることはできず、他の指標と組み合わせて使用することが推奨されます。
LTV
LTV 顧客生涯価値(Life Time Value)は、顧客がビジネスにもたらす予想される全体的な利益を表す指標です。これは、顧客がビジネスとの関係を続ける予想される期間(顧客の"生涯")とその期間中に顧客がビジネスにもたらす予想される利益を考慮して計算されます。
LTVは次の要素を考慮して計算されます:
平均購入価値:顧客が一回の購入で平均的にどれくらいの金額を支払うかを示します。
平均購入頻度:顧客がどのくらいの頻度で購入を行うかを示します。
顧客寿命:顧客がビジネスと関係を続ける予想される期間を示します。
これらの要素を組み合わせると、LTVは次のように計算されます:(平均購入価値 × 平均購入頻度)× 顧客寿命。この結果は、顧客がビジネスにもたらす予想される全体的な利益を示します。
LTVは、マーケティングや販売戦略を計画し、顧客獲得のためにどれくらいの費用をかけるべきかを決定するために非常に重要な指標です。例えば、LTVが高い顧客を獲得し維持するためには、より高いマーケティング費用を正当化することができます。また、LTVを最大化するための戦略(たとえば、顧客ロイヤルティプログラムの開発や顧客満足度の改善)も重要になります。
CES(Customer Effort Score)
CES(Customer Effort Score)は、顧客が特定のタスクを完了するために必要な努力を測定する指標です。これは通常、製品やサービスを利用する際、あるいは問題を解決する際に顧客がどれだけの努力を必要としたかを評価します。
CESは、顧客が製品やサービスを使用する過程で経験した困難さや複雑さを把握することができます。そのため、このスコアは企業が顧客体験を改善し、顧客満足度とロイヤルティを高めるための重要なフィードバックを提供します。
CESは通常、アンケート形式で収集されます。顧客は特定のタスク(例えば、製品をセットアップする、カスタマーサービスに問い合わせる、ウェブサイトで情報を見つけるなど)を完了するのに必要だった努力を評価します。評価は通常、数値スケール(たとえば1から5または1から7)で行われ、低いスコアは少ない努力を、高いスコアは多くの努力を示します。
CESの主な利点の一つは、その具体性です。CESは特定のインタラクションやタスクに焦点を当て、その改善に向けた具体的なフィードバックを提供します。しかし、CESは一部の顧客体験のみを捉えるため、他の指標(例えば、NPSやCSAT)と併用することが推奨されます。
顧客維持率(Customer Retention Rate)
顧客維持率(Customer Retention Rate)は、ある期間において顧客を維持する能力を測定する指標です。CRRは特に、リピートビジネスやサブスクリプションベースのビジネスモデルにおいて重要な指標とされています。
顧客維持率は、以下の数式を使用して計算されます:
CRR = ((E - N) / S) * 100
ここで:
Eは期間の終わりの顧客数
Nはその期間に新規に獲得した顧客数
Sは期間の始めの顧客数
この数式は、期間の始めにいた顧客のうちどれだけが期間の終わりまでに維持されたかを示します。例えば、期間の始めに100人の顧客がいて、その期間に10人の新規顧客を獲得し、期間の終わりに90人の顧客がいた場合、CRRは ((90 - 10) / 100) * 100 = 80%になります。
高いCRRは、顧客満足度が高く、顧客がビジネスとの関係を続ける意欲があることを示しています。これはビジネスにとって非常に重要で、新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストよりもはるかに高いと言われています。したがって、CRRを向上させることはビジネスの収益性を高める効果的な方法となります。
リテンションレート(既存顧客維持率)
リテンションレート(Retention Rate)、または既存顧客維持率は、一定期間にわたってビジネスが顧客をどれだけ維持できたかを示す指標です。この指標は、顧客満足度、顧客ロイヤルティ、そして製品やサービスの価値を直接反映します。
リテンションレートの計算方法は以下の通りです:
リテンションレート = (期間終了時点での既存顧客数 - その期間に新規獲得した顧客数) / 期間開始時点での既存顧客数 * 100%
例えば、ある月の初めに100人の顧客がいて、その月に20人の新規顧客を獲得し、月末には80人の顧客が残っていたとします。この場合、リテンションレートは(80 - 20)/ 100 * 100% = 60%となります。これは、その月にビジネスが最初の顧客の60%を維持できたことを示します。
リテンションレートはビジネスの成功にとって非常に重要な指標で、高いリテンションレートは高い顧客満足度とロイヤルティを示します。新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストよりも高いため、顧客を維持することはビジネスの収益性を高める効果的な方法となります。
CSI(Customer Satisfaction Index)
CSI(Customer Satisfaction Index)は、ビジネスが顧客満足度を定量的に測定するための一般的な手法です。これは、顧客が製品やサービス、企業全体、または特定の顧客体験にどの程度満足しているかを評価するために使用されます。
CSIは通常、アンケート形式でデータを収集し、顧客からフィードバックを得ます。これらのアンケートは、購入体験、製品の品質、カスタマーサービス、価格、ブランドの評価など、様々な側面を評価する質問を含むことがあります。顧客は通常、数値スケール(例えば1から10)を使用して各質問に回答し、その結果を集計してCSIスコアを生成します。
CSIスコアは、ビジネスが顧客のニーズと期待をどれだけ満たしているか、どの領域が改善を必要としているか、また顧客ロイヤルティとビジネスパフォーマンスの向上にどのように貢献しているかを理解するのに役立ちます。高いCSIスコアは、顧客が製品やサービスに満足していることを示し、これは通常、顧客ロイヤルティとビジネスの成功に寄与します。
ただし、CSIはあくまで一部の顧客体験を捉える指標であり、他の指標(例えばNPSやCES)と併用することで、より全体的な顧客体験と満足度の理解が深まります。
JCSI(日本版顧客満足度指数:Japanese Customer Satisfaction Index)
日本版顧客満足度指数(JCSI: Japanese Customer Satisfaction Index)は、公益財団法人日本生産性本部が実施する顧客満足度調査です。約30のサービス産業を対象に毎年調査を行い、その結果をもとにスコア上位企業を公表しています1。
JCSIは「全業種共通の質問」を利用者に評価してもらうことで、業種を超えた比較・分析が可能となっています。これにより、顧客の評価を起点とした業種を超えた競争を第三者機関として促進し、付加価値や顧客満足を高める経営が日本全体に広がることを目指しています1。
具体的には、年間で30業種前後、約400の企業・ブランドを対象に、年6回程度に分けて調査を実施し、その結果データを蓄積しています1。
そして、顧客満足の原因・結果を含む6つの指標で指数化し、満足・不満足の理由やその後の行動についてまで多面的な比較・分析が可能となるようにしています1。
また、調査対象となった企業に対しては、希望に応じて調査データと分析レポートを提供し、それを経営戦略の立案等に活用してもらうことも行っています1。